一般演題 0535(11)
Sulcotomy, gyrectomyによるグリオーマの手術と結果:嘉山孝正,櫻田 香,佐藤慎哉,黒木 亮(山形大・医・脳外)
Surgery for glioma with a technique of sulcotomy and gyrectomy and its result:Takamasa KAYAMA, Kaori SAKURADA, Shinya SATO, Akira KUROKI (Dept. of Neurosurgery, Yamagata Univ. School of Med.)
【はじめに】様々なadjuvant therapyを用いても尚、手術摘出率がグリオーマの治療成績に最も影響を与える因子である。グリオーマの手術の眼目は、tumor bulkを確定して全摘出することであるが、画像上のtumor bulkはdiffuse typeを除く大部分の症例ではsulcusを境界としている。Sulcusをわけるsulcotomyのテクニックを用い、病変を含むgyrusのみを選択的に摘出するen bloc gyrectomy法を施行したグリオーマの手術と結果について報告する。
【対象】当科でen bloc gyrectomy法を開始した1994年5月から1998年4月までに経験した頭蓋内グリオーマは60例であるが、この内43例にen bloc gyrectomy法を行った。
【方法】術前にeloquent gyrusと腫瘍の関係をMEGにて確認して分けるsulcusを同定し、術中はMEP, SEPにてモニタリングした。sulcusをsharp dissectionしてsulcus内の動脈本幹は残し、摘出するgyrusへ流入している枝のみを焼灼切断する。症例によっては、temporary clipを最低30分applyしつつ各種モニタリングにて切断の可否を決定し、sulcotomy、gyrectomyを行う。大きな腫瘍でも境界はsulcotomyを行い、en blockに摘出した。
【結果】gyrectomyをおこなった43例全例にて、画像上全摘した。術後合併症としては、1例で運動麻痺を残したのみであった。
【結論】En bloc gyrectomy法は腫瘍の取り残しを防ぐことが可能で、機能温存の上でも良い方法と考えている。