一般演題 (11)
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癌手術操作後の局所浸出液(創液・腹腔浸出液)中の免疫抑制物質と細胞増殖因子: 徳永 昭、恩田昌彦、白川 毅、池田研吾、平本義浩、沖野哲也、李 栄浩、藤田逸郎、奥田武志、飯田信也、木山輝郎、吉行俊郎、 松倉則夫(日本医大・1外)

Post-surgical wound and peritoneal fluids have immunosuppressive substances and contain growth factors: Akira TOKUNAGA, Masahiko ONDA, Takashi SHIRAKAWA, Kengo IKEDA, Yoshihiro HIRAMOTO, Tetsuya OKINO, Youngho LEE, Itsuo FUJITA,Takeshi OKUDA, Shinya IIDA, Teruo KIYAMA, Toshiro YOSHIYUKI, Norio MATSUKURA (Dept. of Surg., Nippon Med.,Sch.)

【目的】 癌手術において、 切除されなかった癌が術後急速に増大し、 患者の生命を短くすることがある。 手術局所において産生されたサイトカインやアラキドン酸代謝物による、 局所の癌細胞増殖促進、 全身作用として免疫抑制が背景にあるものと推測される。 これまで、 胃癌および乳癌手術をモデルとして術後の腹腔浸出液(PF)と創液(WF)中のサイトカインの存在を報告した。 今回は局所浸出液の免疫抑制作用および細胞増殖因子について検討する。
【対象・方法】胃癌手術(根治度A,Bおよび術前輸血例)患者35人、乳癌手術患者20人を対象として、(1)NK細胞活性および可溶性IL-2受容体(sIL-2R)を測定、同時に局所浸出液のTGF-β,PGE2およびHGFを測定した。(2)健常人NK活性に対する浸出液の影響 (3)ヌードマウスNK活性に対するTGF-β腹腔内投与の影響。
【結果】(1)胃癌術後NK活性は低下、sIL-2Rは増加し、乳癌術後では軽微な変化であった。PF中のTGF-β1、PGE2はWFに比して高値を持続する。PF中のHGFは高値を示した。(2)PF添加により健常人NK活性が低下した。(3)腹腔内TGF-β1投与によりヌードマウスNK活性が低下した。
【結論】局所浸出液は細胞増殖因子を含み、同時に免疫抑制作用を示す。 患者の状態と癌の病期・進展とに適切な治療を選択するために、 手術侵襲定量化の検討が必要である。