ABSTRACT 542(12-1)
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アビジンの腫瘍集積に対する糖鎖と等電点の関与:阪原晴海1, 佐賀恒夫1, 中本裕士1, 佐藤則子1, 荒野 泰2, 小西淳二11京大・医, 2京大・薬)

Relationship of glycosylation and isoelectric point with tumor accumulation of avidin: Harumi SAKAHARA1, Tsuneo SAGA1, Yuji NAKAMOTO1, Noriko SATO1, Yasushi ARANO2, Junji KONISHI1 (1Postgraduate School of Medicine, 2Postgraduate School of Pharmaceutical Sciences, Kyoto Univ.)

腹腔内に播種性腫瘍を形成したマウスにアビジンを腹腔内投与するとアビジンは速やかにかつ高濃度に腫瘍に集積する。アビジンと同様にビオチンと結合するストレプトアビジンにはこの腫瘍集積性はない。アビジンはストレプトアビジンと異なり、糖鎖に富み、また等電点も高い。アビジンの腫瘍集積に対する糖鎖と等電点の関与を検討した。endoglycosidase-Hにより糖鎖を除去したアビジン、アセチル化することにより等電点を下げたアビジン、および両者の処理を行ったアビジンを作成し、それぞれIn-111標識ビオチンで標識した。腹腔内にヒト大腸癌細胞を接種し腹膜播種を形成させたヌードマウスの腹腔内に、標識した修飾アビジンを投与し、放射能の腫瘍集積、体内分布を検討した。投与24時間後の非修飾アビジンの腫瘍集積が54%ID/g (injected dose/gram) であったのに比較し、糖鎖を除去したアビジン、等電点を低下させたアビジンの腫瘍集積はそれぞれ19%ID/g、27%ID/gに減少した。体内分布も変化し、糖鎖の除去により肝臓への集積は低下し、等電点の低下は腎集積の低下をもたらした。さらに両方の処理を行った場合、腫瘍集積は11%ID/gに減少した。糖鎖が豊富であること、等電点が高いことがアビジンの高い腫瘍集積に関与していると考えられた。