ABSTRACT 551(12-1)
再発難治性悪性リンパ腫に対する新規救援療法(CHASE療法)の臨床第I/II相試験:小椋美知則、近藤英生、真栄田聡子、竹内隆浩、田地浩史、鏡味良豊、森島泰雄(愛知がんセ・病・血液化学療法部)
Phase I/II study of new salvage therapy (CHASE) with concurrent object of mobilization of peripheral blood stem cells for refractory or relapsed malignant lymphomas : (Division of Hematology & Chemotherapy, Aichi Cancer Center Hospital, Michinori OGURA, Hideo KONDO, Satoko MAEDA, Takahiro TAKEUCHI, Hirofumi TAJI, Yoshitoyo KAGAMI, Yasuo MORISHIMA)
【目的】再発難治性の非ホジキンリンパ腫(NHL)もしくはホジキン病(HD)症例に対して、確立した救援化学療法はない。われわれは、抗腫瘍効果と自家末梢血幹細胞(PBSC)採取効率の増強を目指し、feasibilityをprimary endpointとした新規救援化学療法(CHASE療法)の臨床第I/II相試験を実施したので報告する。【対象・方法】適格基準は以下の如く定めた。(1)病理組織学的にHD、またはWorking Formulation(WF)分類で、low grade以上のNHL。(2)初回化学療法でCRまたはCRuに至らずPR以下の効果に留まった症例、もしくは初回CRまたはCRu後の再発例。lymphoblastic lymphoma は地固め療法の対象例。(3)15歳以上60歳未満で、PSは0〜2、かつ主要臓器機能が保持されていること。(4)本人の文書による同意。CHASEプロトコールは、CPA 1200 mg/m2、d.i.v. (day 1), Ara-C 2g/m2, d.i.v (day 2 and 3),VP-16 100 mg/m2 , d.i.v (day 1 to 3), DXM 40 mg/body, d.i.v (day 1 to 3), G-CSF, s.c. (day 5 ~)。【結果】CHASE療法を16例の再発難治性リンパ腫症例に実施し、抗腫瘍効果判定可能であった13例中10例がCR, 1例がPRであった(完全寛解率76.9%、奏功率84.6%)。PBSCはday 15にpeakとなり1回のapheresisで1.2 x 106/kg(中央値)のCD34陽性細胞が採取でき、好中球数500/μl以下および血小板数2万/μl以下の期間はともに3日(中央値)と極めて短期間であり、JCOG Toxicity Criteiaのgrade3以上の非血液毒性は認めずfeasibilityが確認され、抗腫瘍効果および末梢血幹細胞動員効果に対する有効性が示された。【考察】CHASE療法は、再発難治性のmalignant lymphomaに対するPBSCT併用の超大量化学療法を前提とした救援化学療法として安全かつ有効であることが示され、大規模な多施設共同の臨床第II相試験を開始予定である。