ABSTRACT 553(12-2)
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P-糖蛋白質の2つのATP 結合領域の非等価性:植田和光(京大院・農・応用生命科学) Non-equivalent cooperation of two NBFs of P-glycoprotein: Kazumitsu UEDA (Lab. Biochem., Dept. Applied Life Sciences, Kyoto Univ. Graduate School)

P糖蛋白質の2つのATP結合領域 (NBF1, NBF2) は、抗癌剤輸送において協同的に働いている。一方、同じくABCスーパーファミリーに属するCFTRやSURの2つのATP結合領域は、協同的に働いているが、役割は等価ではない。NBFのWalker A 配列内のリジン、システインに変異を導入後、NEMによる修飾、ATP 結合、ATP 加水分解を検討し、2つのNBFの等価性を検討した。どちらか一方のNBFのリジンをメチオニンに置換すると、P-糖蛋白質はATP加水分解活性を失った。また、どちらか一方のNBFのシステインがNEMで修飾されると、ATP加水分解活性を失った。以上の結果は、ATP加水分解には両方のNBFが必要であり、2つのNBFは協同的に働いていることを示している。しかし、NBF1のシステインがNEMで修飾されると両NBFのATP 結合が大幅に減少したのに対し、NBF2のシステインがNEMで修飾されてもATP 結合は影響を受けなかった。また、リジン変異の低濃度のATP 結合に与える影響も等価ではなかった。これらの結果は、P-糖蛋白質の2つのNBFが等価でないことを示唆している。スルホニル尿素受容体SUR1のNBFの役割との比較を行った。