ABSTRACT 554(12-2)
 一般演題一覧 トップ 


ヒト食道癌細胞株におけるDNA修復遺伝子;ERCC1(excision repair cross-complementing1)の発現とCDDP感受性:安部俊弘,飯塚徳男,山本光太郎,岡 正朗(山口大2外)

The relationship between the expression of DNA repair gene ERCC1 (excision repair cross-complementing1) and the sensitivity of CDDP in human esophageal cancer cell line: Toshihiro ABE, Norio IIZUKA, Kohtarou YAMAMOTO, Masaaki OKA (Dept. of Surg. II., Yamaguchi Univ.)

当科で樹立、継代培養しているヒト食道癌細胞株6株(YES-1,2,3,4,5,6)を用い、CDDP耐性機構のひとつであるDNA修復遺伝子;ERCC1のm RNA,蛋白発現をin vitroに検索し、CDDP感受性との関連を比較検討した。【方法】CDDPに対する感受性をMTT assay法を用い、ERCC1mRNAの発現を定性的 、定量的RT-PCR法を用い、ERCC1蛋白の発現をWestern blot法、免疫組織染色を用い検索した。さらに、CDDP暴露前後の蛋白の発現の変化をWestern blot 法を用い比較検討した。【結果】1. MTTassay;CDDPに24hr暴露後の感受性はYES-1,5,6は感受性が低く (IC50≧20μg/ml)、YES-2,3,4は感受性が高かった (0.65<IC50<2.0 μg/ml)。2. RT-PCR;ERCC1mRNAはParent cellにおいていずれの6株にも発現を認めた。定量的RT-PCRではYES-4,5において若干低い傾向があった。3. Western blot;蛋白レベルではParent cellにおいてはYES-1,2,3,6において強く、YES-4,5で は弱く発現を認めた。4. CDDP暴露前後におけるWestern blot;YES-2,3,4は暴露後、発現が減弱していたが、YES-1,5,6では発現が増強していた。5. 免疫組織染色;Western blotにて強く発現を認めた細胞株は明らかに陽性細胞数が多く、強く染色されていた。また、蛋白の局在は細胞核にあった。【考察】ERCC1のmRNA、蛋白によってCDDPの感受性を予期することは困難であったが、CDDP耐性株ではCDDP暴露後ERCC1蛋白の増加が認められることより、DNA修復が増強されることによりCDDP耐性となる機序が示唆された。