ABSTRACT 558(12-2)
シスプラチン耐性細胞でのHMG1遺伝子過剰発現の分子機序:永谷群司1、伊勢知子1、今村寿宏1 、加藤健1、野本実1、高野裕士1、河野公俊1(産業医大・医・分子生物)
Molecular mechanism of the overexpression of HMG1 gene in cisplatin resistant cells:(Gunji NAGATANI1,Tomoko ISE1, Toshihiro IMAMURA1, Ken KATO1, Minoru NOMOTO1, Hiroshi TAKANO1, Kimitoshi KOHNO1 (1Dept. of Mol. Biol., Univ of Occup. & Environ. Health.)
[目的]シスプラチン耐性細胞で高頻度に過剰発現してくるHMGドメイン蛋白群はシスプラチン修飾DNAを認識し、DNA修復に関与することが知られている。そこでHMG蛋白のなかでHMG1に注目し、耐性細胞でのその過剰発現及びシスプラチンによる癌細胞のストレス応答の分子機序を明らかにする。
[方法](1)HMG1プロモーター領域のクローニングを行い塩基配列及び転写因子の決定を行いdeletionを作成し、シスプラチン耐性細胞に導入、その活性をルシフェラーゼ・アッセイにて検討する。(2)細胞内での転写因子の結合様式をin vivo Footprintで比較した。
[結果]HMG1のプロモーター構造はTATA boxはなくGC richでCpGアイランドクラスプロモーターである。転写開始点近傍の推測される転写因子の結合部位として3つのCCAAT配列があった。プロモーター活性は耐性細胞で高く、そのシスエレメントとして転写開始点より上流約40bpが関与することが判明した。in vivo においては、プロモーター領域に含まれている3つのCCAAT領域及びその周辺に一致して親株と耐性細胞間でDMS感受性に差異を認めた。