ABSTRACT 561(12-2)
シスプラチン耐性KCP-4に高発現しているGS-Xポンプの輸送特性: 伊藤晃成1,鈴木洋史1,秋山伸一2,杉山雄一1(1東大・薬, 2鹿児島大・医・腫瘍研)
Characterization of the novel GS-X pump overexpressed in cisplatin resistant KCP-4 cells: Kousei ITO1, Hiroshi SUZUKI1, Shinichi AKIYAMA2, Yuichi SUGIYAMA1 (1Grad. School of Pharm. Sci, Univ. of Tokyo , 2Inst. for Cancer Res., Faculty of Medicine, Kagoshima Univ.)
[目的]我々はこれまで、ヒト咽頭癌KB3-1細胞由来でMRP高発現型のCA500、及び、シスプラチン耐性で未解明のGS-X pump活性を有するKCP-4を確立してきた (Chuman et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 226: 158-165, 1996)。今回我々はこれら排泄輸送体の基質特異性を明らかにするために、各細胞膜ベシクルへの種々の化合物の取り込みを検討すると共に、KCP-4における新規GS-Xポンプ (GS-Pt pump)の同定を試みた。
[方法]各細胞からnitrogen cavitation法で細胞膜ベシクルを調製し、ATP存在下での薬物の輸送を迅速濾過法で測定した。
[結果]グルタチオン抱合体であるleukotriene C4及び、 S-(2,4-dinitrophenyl)-glutathioneのATP依存的な取り込みはKB3-1では見られないものの、CA500、KCP-4で亢進していた。一方platinum glutathione complex (GS-Pt)のATP依存的な取り込みはKCP-4においてのみ観察され、GS-Pt pumpとMRPの基質特異性の差異が示された。CPT11とその活性代謝物SN38のATP依存性取り込みを検討したところ、SN38のcarboxylate form 及びSN38-glucuronideはCA500で著しい上昇が見られたものの、KCP-4においては全く観察されなかった。SN38-glucuronideの輸送にはMRPが関与するものの、GS-Pt pumpはglucuronideを輸送せず、glutathione complex特異的であることが示唆された。現在、KCP-4において高発現しているABC transporter様の新規遺伝子のクローニングを終え、遺伝子産物がGS-Pt pump活性を有するか否かについて解析を進めている。