ABSTRACT 564(12-2)
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ヒトMRP Like Protein-2 (MLP-2)の cDNA クローニング :広橋智子, 伊藤晃成, 鈴木洋史, 杉山雄一 (東大院・薬)

cDNA cloning of human MRP Like Protein-2 (MLP-2): Tomoko HIROHASHI, Kousei ITO, Hiroshi SUZUKI, and Yuichi SUGIYAMA (Grad. School of Pharm Sci., Univ. of Tokyo)

[目的] MRP や MOAT は多くの有機アニオン性化合物に対する排出輸送担体である。我々は有機アニオン類の排出機構の多様性に着目しcMOAT の遺伝的欠損ラット EHBR にも存在するMRPホモログとしてMLP-1、MLP-2 (MRP Like Protein) のcDNAクローニングに成功した [Hirohashi et al. Mol. Pharm. in press (1988)]。このうち MLP-2 はその部分配列が報告されているヒトMRP3 のホモログであり、正常ラット肝では発現していないが、EHBRや、正常ラットをフェノバルビタール(PB) やビリルビン処置することにより誘導されることが分かった。また、正常ラットでは主に腸管系に発現していた。ヒトMRP3 は doxorubicin 耐性 30.3M 細胞 (SW1573/S1 細胞由来) で高発現しており多剤耐性への関与が考えられたため、ヒト MLP-2 の全長 cDNA クローニングを試みた。
[結果・考察] hMRPのC末のABC部位のdegenerate primerを用いてRT-PCRを行い、ヒト肝臓からラットMLP-2と約90%の相同性を有するフラグメントを増幅した。効率よくクローニングを行うため、MLP-2の発現量が多いヒト大腸癌由来Caco-2細胞からcDNAライブラリーを作製した。ヒトMLP-2は1524個のアミノ酸から成るORFを有し、ラットMLP-2と全長で80%以上のアミノ酸ホモロジーを示す他、MRPやcMOATとも50%近いホモロジーを示した。市販のメンブレンを用いたノザンブロットの結果、MLP-2は肝臓の他、小腸、大腸などの消化管でも強い発現を示した。更に、ヒト肝癌由来HepG2細胞をPB処理したところ、濃度依存的なMLP-2のmRNA発現レベルの上昇が観察され、ラットと同様、ヒトMLP-2もinducibleであることが示唆された。