ABSTRACT 566(12-3)
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telomeraseおよびDNA複製酵素に対するalterperylenolの阻害活性について:1富樫謙一、1掛谷秀昭、2内田章夫、2花岡文雄、1長田裕之 (1理研・抗生物質、2阪大・細胞セ)

Effect of alterperylenol on telomerase and DNA replication enzymes:Ken-ichi TOGASHI1, Hideaki KAKEYA1, Akio UCHIDA2, Fumio HANAOKA2, Hiroyuki OSADA1 (1Antibiotics Lab., RIKEN, 2Inst. Mol. Cell. Biol., Osaka Univ.)

【目的】染色体末端に存在するtelomere DNAを伸長する働きを持つtelomeraseは、癌細胞に高頻度で発現しているが、正常体細胞ではほとんど認められないことから、癌治療の標的分子として期待される。我々は、TRAP法を基にしたスクリーニング系でカビからalterperylenolを単離したので、telomeraseおよび他のDNA合成関連酵素活性に与える影響を検討した。
【方法及び結果】ヒト白血病細胞U937のS100画分を用いてtelomerase反応を行った。alterperylenolはtelomerase反応をIC50=約30μMで阻害したが、その後のPCR反応には影響を与えなかった。一方、その類縁体であるaltertoxin I (5,6位の二重結合が飽和した化合物)は調べた全ての酵素活性を1mMでも阻害しなかった。また、alterperylenolがMMLV由来の逆転写酵素に与える影響についても検討したところ、1mMの濃度でも阻害を示さなかったので、逆転写酵素とtelomeraseに対する阻害活性には大きな差があることが確認された。しかしながら、alterperylenolはHeLa細胞抽出液(DNApolymerase, helicase, topoisomerase 等を含む) を用いたSV40ウイルスのDNA複製系モデルに対してはIC50=約60μMで阻害したことから、telomerase以外のDNA合成関連酵素にも阻害効果を示すことが明らかとなった。