ABSTRACT 567(12-3)
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Cytostatinによる癌細胞−細胞外基質接着阻害の機構:川田 学, 雨宮昌秀, 石塚雅章, 竹内富雄 (微化研・化学療法研究所)

Inhibition of cancer cell adhesion to extracellular matrix by cytostatin : Manabu KAWADA, Masahide AMEMIYA, Masaaki ISHIZUKA, Tomio TAKEUCHI (Inst. for Chemotherapy, M. C. R. F.)

Cytostatinは癌細胞の細胞外マトリックスへの接着を阻害する物質として見出され、B16細胞の実験転移を抑制する。一方、Cytostatinはある種の細胞に対してアポトーシスを誘導する。そこで、我々はCytostatinによる細胞接着阻害と抗転移およびアポトーシス誘導との関係を探るため、今回はCytostatinによる細胞接着阻害の作用機構を解析した。CytostatinはB16細胞のラミニン、コラーゲンIV への接着を阻害し、フィブロネクチンへの接着を阻害しないが、接着に続く細胞の伸展はいずれの細胞外基質においても阻害した。 細胞の細胞外基質、特にフィブロネクチンへの接着では、FAKやパキシリンのチロシンリン酸化が起こるが、Cytostatinはこれらのチロシンリン酸化を細胞の接着有無に関わらず阻害した。 さらに、我々はCytostatinによってパキシリンがSDS-PAGE上低移動度側にシフトすることを見出した。 このパキシリンへの作用は、チロシンキナーゼ阻害剤Herbimycin Aや細胞骨格に作用するCytochalasin Dなどの処理では見られなかった。したがって、Cytostatinはそれらとは異なる機構でパキシリンに作用することで、B16細胞の細胞外基質への接着を阻害することが示唆された。 現在詳細な作用機構について検討中である。