ABSTRACT 570(12-3)
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cisplatin、5-fluorouracil併用によるNF-κB非依存性のICAM-1発現誘導 : 滝沢邦生、上條竜太郎、住谷要、羽鳥仁志、岩瀬正泰、南雲正男 (昭和大・歯・2口外)

Synergistic induction of ICAM-1 in a human cancer cell line by cisplatin and 5-fluorouracil : Kunio TAKIZAWA, Ryutaro KAMIJO, Kaname SUMITANI, Masashi Hatori, Masayasu IWASE, Masao NAGUMO (2nd Dept. of Oral&Maxillofac. Surg., Sch. of Dent. , Showa Univ.)

 癌細胞はその細胞表面に種々の細胞接着分子を発現しており、特にICAM-1はT細胞と癌細胞の接着およびそれに引き続くT リンパ球の活性化に関与することが知られている。そこで我々は、扁平上皮癌細胞株NAを用いて、抗癌剤によるICAM-1の誘導およびその誘導機序を検討した。flow cytometry による分析の結果、cisplatin (CDDP)、5-fluorouracil (5-FU )の併用により NA細胞表面のICAM-1が相乗的に誘導され、この誘導はICAM-1 mRNA レベルの上昇を伴っていた。CDDP、5-FU併用によるNAのICAM-1発現誘導は genistein [protein tyrosin kinase (PTK) 阻害剤]により阻害されたが、staurosporin (protein kinase C 阻害剤)では阻害されなかった。gel shift assay の結果CDDP、5-FUを併用するとNF-κBの 誘導が増強されたが、genistein 処理によりNF-κBレベルは低下しなかった。また、NF-κBの阻害剤でNA細胞を処理しても、ICAM-1 の発現は抑制されなかった。以上の結果より、CDDP、5-FUによるNA細胞のICAM-1の発現誘導には、PTK が関与しておりNF-κB非依存性 pathway の関与が示唆された。