ABSTRACT 571(12-3)
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CDDP封入TF-PEG-liposomeの腹膜播種における抗腫瘍効果:飯沼久恵1,冲永功太1,関根敏行1,熊谷晴美1,田村純子1,石田理2,丸山一雄21帝京大・医・二外,2帝京大・薬・薬剤)

Antitumor effect of CDDP-encapsulated TF-PEG-liposome on peritoneal dissemination:Hisae IINUMA1, Kota OKINAGA1, Toshiyuki SEKINE1, Harumi KUMAGAI1, Jyunko TAMURA1, Osamu ISHIDA2, Kazuo MARUYAMA2 (1 2nd Dept. of Surg., 2 Dept. of Parm. Teikyo Univ.)

【目的】癌細胞表面に高頻度に発現されるtransferrin (TF) receptorを介して細胞内に取り込まれる,TF結合CDDP封入PEG-liposomeを用い,ヒト胃癌細胞移植ヌードマウス腹膜播種モデルでの腹腔内局所投与の有効性を検討した。
【材料と方法】ICR nu/nu系マウス にヒト胃癌細胞株MKN45Pを腹腔内接種し,day1, およびday4に各薬剤を腹腔内投与した。CDDP封入liposomeは,bare-liposome(DCPS/ CH), PEG-liposome(DSPC/CH/DSPE-PEG1000), TFをPEG-COOH末端に結合したTF-PEG-liposomeを用いた。対照群としてCDDP水溶液,PBS投与群をおいた。CDDP投与量は1回5mg/kgとし,血液,腹腔, 肝,脾,腎,腫瘍細胞の総プラチナ (total Pt)量および蛋白非結合型 (free) Pt量を原子吸光分光光度計で測定した。さらに各薬剤投与後の生存日数を比較検討した。
【結果および考察】TF-PEG-liposome投与群は, PEG-liposome, bare-liposomeまたはCDDP単独投与群に比べ,腹腔内のfree Pt値が高く維持され,投与後24時間までのArea under the curve はPEG-liposome, bare-liposome, CDDP単独投与群のそれぞれ1.6倍,2.6倍,8.7倍を示した。さらに腹腔内腫瘍細胞へのCDDPの取り込みはTF-PEG-liposome群が他群に比べ著しく上昇した。TF-PEG-liposome群の血中Pt値も他群に比べ高値を示した。TF-PEG-liposomeの肝および脾臓への取り込み率はbare-liposomeの約40%に減少した。またTF-PEG-liposome群は他群に比較し有意な生存率の上昇を認めた。TF-PEG-liposomeは腹膜播種の治療に有用と考えられた。