ABSTRACT 573(12-3)
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腫瘍増殖に伴うDihydropyrimidine dehydrogenase活性の変動:武知貞士、岡部博之、藤岡秋生、福島正和(大鵬薬品・第二がん研)

Elevation of dihydropyrimidine dehydrogenase activity in human tumor cells during growth in culture or growth of xenografts implanted into nude mice : Teiji TAKECHI, Hiroyuki OKABE, Akio FUJIOKA, Masakazu FUKUSHIMA (Taiho Pharmaceutical Co., Ltd., Cancer Res. Lab.)

(目的)腫瘍内のdihydropyrimidine dehydrogenase(DPD)活性と5-FU系抗癌剤の感受性との関連が注目されてきているが、DPD活性は個々の腫瘍によって大きく変動する。我々は腫瘍の増殖相(growth phase)の観点からDPD活性の変動を調べた。(方法)ヒト線維肉腫株HT1080とヒト膵臓癌株MIAPaCa-2を用い、フラスコ内で、あるいはヌードマウスに皮下移植して一定期間培養・増殖し、種々の増殖相の細胞または腫瘍を回収した。細胞または腫瘍組織中のDPDレベル、すなわち活性(radioenzymatic assay)、タンパク量(Western blot)およびmRNA量(semi-quantitative RT-PCR)を測定し、細胞密度または腫瘍重量との関係を調べた。(結果)フラスコ内で培養した場合は両方の細胞にて、皮下移植後に形成された腫瘍では HT1080にて、DPD活性およびDPDタンパク量は細胞密度または腫瘍重量に相関して上昇し、比活性にして100倍以上の変動を示した。このときDPD mRNA量はやや減少する傾向を示した。MIAPaCa-2の皮下腫瘍の場合、30 mg程度の大きさのもので活性およびタンパク量はすでにプラトーに達していた。(考察)細胞密度が高まったり腫瘍が大きくなるとDPDタンパクの発現が亢進するような転写後調節機構の存在が示唆された。