ABSTRACT 578(12-4)
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新規カンプトテシン誘導体DX-8951fはグルクロン酸抱合を受ける:臼田実男1、2、野本泰介、福岡和也、福本久郎、岩本康男、須波敏彦、鈴木俊宏、具孝庭、加藤治文、西條長宏、西尾和人国立がんセ、研、薬効、東京医大、外)

A new water-soluble analog of camptothecin, DX-8951f is conjugated with glucuronic acid: Jitsuo USUDA1,2, Taisuke NOMOTO1, Kazuya, FUKUOKA1, Hisao FUKUMOTO1, Yasuo IWAMOTO1, Toshihiko SUNAMI1, Toshihiko SUZUKI1, Hyo-Jeong KUH1, Harubumi KATO2, Nagahiro SAIJO1 , Kazuto NISHIO1 (1 Pharmacol. Div., Nat'l. Cancer Ctr. Res. Inst., 2Dept. of Surgery, Tokyo medical college)

[目的]新規抗がん剤であるDX-8951fは、カンプトテシン誘導体のトポイソメラーゼI阻害剤であり、強い抗腫瘍効果を有している。DX-8951f の感受性を規定する因子として、細胞内におけるグルクロン酸抱合体の形成、それを基質とした細胞からの排出ポンプが関与しているか否かを検討した。
[方法]ヒト小細胞肺癌株SBC-3、とそのDX-8951f耐性細胞株SBC-3/DCL1のマイクロゾーム分画を採取し、無細胞系においてグルクロン酸と1mMのDX-8951fを反応させ、DX-8951f-グルクロン酸抱合体形成の有無をHPLC、薄層クロマトグラフィーを用いて解析した。
[結果および考察]1)DX-8951fは、同じトポイソメラーゼI阻害剤SN-38と同程度にbovine由来のUDP-glucunosyltransferase により、グルクロン酸抱合をうけた。2)SBC-3、SBC-3/DCL1由来のマイクロゾーム、グルクロン酸とDX-8951fとを反応させたところ、時間、濃度依存的にDX-8951f-グルクロン酸抱合体が形成されたが、耐性株のマイクロゾーム画分によるグルクロン酸抱合体形成量は親株に比し低い傾向があった。すなわち、この耐性細胞SBC-3/DCL1のUDP-glucunosyltransferase活性は、親株に比して、低レベルであることが示唆された。すなわちSBC-3/DCL1におけるDX-8951fに対する耐性獲得機序にグルクロン酸抱合体形成能は関与しないと考えられた。さらに、DX-8951fのグルクロン酸抱合体形成にUDP-glucunosyltransferaseのどのアイソザイムが関与しているか明らかにする目的で、SBC-3、SBC-3/DCL1のアイソザイム別発現について検討中である。