ABSTRACT 580(12-4)
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ヒトABCスーパーファミリーcMOAT1/MRP2遺伝子のプロモーターと発現制御: 田中聡也,内海健,藤賢史,河辺毅,芳賀整,日下英司,中村崇規,和田守正,桑野信彦(九大・医・生化)

Regulation of the Expression of a New Human ABC Superfamily Member cMOAT1/MRP2 : Toshiya TANAKA, Takeshi UCHIUMI, Satoshi TOH, Takeshi KAWABE, Sei HAGA, Eiji HINOSHITA, Takanori NAKAMURA, MorimasaWADA , Michihiko KUWANO (Dep.Biochem., Kyushu.Univ. Sch.Med .)

[目的] 多剤耐性を獲得した癌細胞では、細胞内の抗癌剤を一次能動輸送するMDR1やMRPの過剰発現が報告されている。最近我々は、MDR1やMRPと同様ABC superfamilyに属するヒトcMOAT(canalicular Multispecific Organic Anion Transporter)1をクローニングした。cMAOAT1遺伝子は、ヒト正常組織では肝臓に特異的に がんでは、他組織由来の腫瘍にも発現している。そこでこのcMOAT1の発現の分子的背景を検討するためにcMOAT1の5'flanking regionの解析を行った。
[方法・結果](1) 5'RACE法を用いてcMOAT1遺伝子の転写開始点の検討を行った。転写開始点は翻訳開始点の上流247bpの部位であった。(2) cMOAT1遺伝子のcDNAの5'端の部分をプローブとしてヒト胎盤ゲノムライブラリーよりcMOATの5' flanking regionを含むファージクローンを単離した。さらに転写開始点より上流約3kbを含む部分をサブクローニングしcMOAT1の5' flanking regionの塩基配列を決定した。(3) モチーフの検索を行なったところAP-1, HNF-3β, C/EBP-βなどが存在した。(4) cMOAT1のmRNAがシスプラチンやシクロヘキシミドなどの薬剤によって誘導されることから、これら薬剤によるcMOAT1遺伝子の発現制御について、ルシフェラーゼアッセイにより検討した。以上の結果から、cMOAT1遺伝子の発現の制御について言及したい。