ABSTRACT 581(12-4)
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新しいヒトABCスーパーファミリー遺伝cMOAT2/MRP3のcDNAクローニング ― シスプラチン感受性を制御するか? : 日下英司1,中村祟規1,藤賢史1,芳賀整1,河辺毅1,田中聡也1,内海健1,和田守正1,大本安一2,桑野信彦1 (九大・医・生化1,大塚製薬・細胞工研2)

Cloning of a full length cDNA of a new human ABC superfamily member, cMOAT2/MRP3 ― does cMOAT/MRP3 control cis-platinum sensitivity?: Eiji HINOSHITA1, Takanori NAKAMURA1, Satoshi TOU1, Sei HAGA1, Takeshi KAWABE1, Toshiya TANAKA1, Takeshi UCHIUMI1, Morimasa WADA1, Yasuichi OHMOTO2,Michihiko KUWANO1 (Dept. of Biochem., Kyushu.Univ.Sch.Med.1,Ohtsuka Parm.Ins.Cell.Tech.2)

【目的】ABCスーパーファミリーMDR1/P糖蛋白質とMRPは抗癌剤排出ポンプとして多剤耐性に関与している。しかし、シスプラチンは両ポンプの基質とならず、新しいポンプの存在が示唆されてきた。最近我々はMRPに構造類似性を示すヒトcMOAT1(canalicular Multispecific Organic Anion Transporter)/MRP2を単離し報告してきたが、今回シスプラチンを中心とした抗癌剤排出の機序を明らかにする目的で、新しいポンプ遺伝子cMOAT2/MRP3の単離を行った。【方法】(1)大腸と肝臓のDNAライブラリーよりcMOATcDNAの3'側ATP結合ドメイン領域をプローブに用いたクロスハイブリダイゼーション法で遺伝子を単離した。(2)単離されたcDNAのGST/cDNA融合タンパクを作り、このタンパクに対する抗体を作成した。(3)cDNAプローブによるNorthern 解析、上記抗体を用いてWestern blottingを行いシスプラチン耐性培養細胞株における発現を検討した。【結果・考察】(1)cMOAT2のcDNAを単離した。塩基配列決定の結果、MRPに近縁の新規ABCファミリーであることが明らかになった。(2)シスプラチン耐性ヒト癌細胞でcMOAT2の発現亢進が観察された。以上の結果からcMOAT2の構造と機能ならびにシスプラチン耐性への関与について言及したい。