ABSTRACT 582(12-4)
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ヒト脳腫瘍における新しいABCスーパーファミリー cMOAT2/MRP3 遺伝子の発現と薬剤耐性:芳賀整1,内海健1,日下英司1、和田守正1, 池崎清信2、福井仁士2、桑野信彦1 (1九大・医・生化, 2九大・医・脳外)

Expression of cMOAT 2/MRP3 Gene and Multidrug Resistance in Human Glioma Cell Lines:Sei HAGA1,Ken UCHIUMI1,Eiji HINOSHITA1, Morimasa WADA1, Kiyonobu IKEZAKI2, Masashi FUKUI2 and Michihiko KUWANO1 (1Dept. of Biochem., Kyushu. Univ. Sch. Med., 2Dept. of Neurosurg. Kyusyu. Univ.Sch. Med.)

【目的】多剤耐性癌細胞における抗癌剤排出の分子標的としてABCスーパーファミリーであるMDR1,MRP,cMOAT1/MRP2が報告されている。最近我々は新しいABCスーパーファミリーcMOAT 2/MRP3の全cDNAを決定した。またこのファミリーにはMRP4やMRP5も属している。脳腫瘍の化学療法ではエトポシド,ACNU, シスプラチン 等がよく使用されているが、薬剤耐性は大きな問題である。今回我々はcMOAT2及び関連遺伝子の発現がヒトグリオーマ細胞の薬剤耐性に関与するか否かを検討した。
【方法】特異性の高いプローブをMRP, cMOAT1, cMOAT2 ,MRP4,MRP5 の各々について作成し、Nothern blot 法にてヒトグリオーマ細胞5株における各遺伝子の発現を比較し,エトポシド,ACNU, シスプラチンの薬剤感受性は細胞集落形成法で測定した。
【結果】(1) MRPは総ての細胞株で発現が見られ、高発現2株、低発現3株であった。cMOAT1 は総ての細胞株で発現が見られなかった。(2) cMOAT 2は3株、MRP4は1株、MRP5は4株で高発現が見られた。(3) 抗癌剤感受性のパターンから、MRPを高発現した株ではエトポシドとACNUにたいして低感受性であった。またシスプラチンに低感受性をしめす株においてはcMOAT2とMRP5の高発現が見られた。
【考察】グリオーマ細胞における抗癌剤感受性と5つのABCスーパーファミリーの発現との関連ならびに臨床サンプルにおける発現について言及したい。