ABSTRACT 583(12-4)
急性骨髄性白血病における5'CpG部位のDNAメチル化とヒト多剤耐性MDR1遺伝子の発現制御:中山雅晴1, 永山淳1, 原田大志1, 草場仁志1, 和田守正1, 小鶴三男2, 小松弘和3, 上田龍三3, 桑野信彦1 (1九大・医・生化1, 2九州がんセ, 3名市大・医・2内)
DNA methylation status and human MDR1 expression in acute myeloid leukemia.: Masaharu NAKAYAMA1, Jun NAGAYAMA 1, Taisi HARADA1, Morimasa WADA1, Mitsuo KOZURU2, Ryuzou UEDA3, Hirokazu KOMATSU3, Michihiko KUWANO1 (1Dep.Biochem.,Kyushu. Univ.Sch.Med., 2Kyushu Cancer Center., 32nd.Dep.of Int. Med.,Nagoya City Univ.Sch.Med)
【目的】ヒト多剤耐性遺伝子(Multidrug resistance: MDR1)がコードする膜P糖蛋白は癌における多剤耐性獲得の一つの重要な分子標的と考えられている。MDR1の遺伝子増幅や転写上昇などが抗がん剤処理によって観察されているが、臨床腫瘍における発現亢進の制御機序については不明な点が多い。昨年度本大会でMDR1遺伝子の発現とそのプロモーター領域のDNAメチル化が逆相関することを培養細胞系及び急性骨髄性白血病11症例で明らかにした。本研究では、急性骨髄性白血病42症例にてMDR1遺伝子の発現とDNA CpGメチル化の相関についてRT-PCR、PCR法を用いて検討した。【結果・考察】高メチル化を認めた15例中13例にてMDR1遺伝子が低発現であった。また、低メチル化27症例中22例にてMDR1遺伝子が高発現であった。MDR1遺伝子発現量とそのプロモーター領域のDNAメチル化の程度は、定量化させることにより逆相関することが明らかになった。また、治療抵抗性の症例では低メチル化でMDR1遺伝子が高発現の傾向を認めた。従って、急性骨髄性白血病においてプロモーター領域5'CpG部位の脱メチル化がMDR1遺伝子の発現亢進に重要なステップとなっていることが示唆された。さらに、大腸腫瘍の症例も含めてMDR1遺伝子発現におよぼすCpGメチル化の関与を臨床経過とも関連づけて考察したい。