ABSTRACT 584(12-4)
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ヒトMDR15'-上流制御領域の遺伝子再編成と多剤耐性の誘導:原田大志1,永山淳1,中山雅晴1,鳥越清之1,河野公俊2,Lyn MICKLY3,,Tito FOJO3,,和田守正1,桑野信彦1(九大,医,生化1,産業医大,分子生物2,Medicin Branch,NCI,NIH3,)

Taishi HARADA1, Jun NAGAYAMA1, Masaharu NAKAYAMA1, Kiyoyuki TORIGOE1,Kimitoshi KOHNO2, Lyn MICKLY3,, Tito FOJO3,, Morimasa WADA1,Michihiko KUWANO1,(Dept of Biochem.,Kyushu.Univ.Sch.Med1., Mole.Biology.Univ.of Occup.Env.Health2., Medicin Branch,NCI,NIH3,)

【目的】多剤耐性癌細胞で、細胞内の抗癌剤を一次能動輸送するP-糖蛋白でMRPの過剰発現が報告されている。P-糖蛋白をコードするMDR1遺伝子の発現亢進に転写因子の活性化、DNAメチル化や遺伝子増幅などの関与が報告されているが詳細は明らかでない。今回ヒト乳癌や頭頚部癌由来の多剤耐性細胞を用いMDR1遺伝子上流領域からの転写開始と遺伝子再編成の分子的背景について検討した。【方法・結果】(1)幾つかのヒト多剤耐性細胞株について5'RACE法によりMDR1遺伝子の転写開始点について検討した。その結果通常の転写開始点よりも上流より転写が開始されている細胞株が存在した。(2)MDR1遺伝子上流の塩基配列は細胞株間で異なることから遺伝子再編成の関与が示唆された。(3)遺伝子再編成の解析のためのフレームワークとしてMDR1遺伝子上流領域100kbにわたるファージコンティグを作成し、この領域のプローブを多数単離した。(4)上記プローブを用いて各細胞株をサザンブロットにて解析した。(5)ヒト多剤耐性細胞において、遺伝子の再編成は無いがMDR1遺伝子上流約120kbより転写が開始されている場合と、MDR1遺伝上流約80kbにて遺伝子再編成が生じている場合が観察された。【考察】ヒト癌細胞の多剤耐性の獲得には遺伝子再編成ならびに上流からの転写始が重要であることが示唆された。