ABSTRACT 585(12-4)
mdr1遺伝子再構成とP糖蛋白の発現誘導−マウス白血病細胞を用いた癌化学療法モデルにおける研究:永山 淳1,草場仁志1,木上 昭2,中山雅晴1,原田大志1,和田守正1,桑野信彦1(九大・医・生化1,日研化学・大宮研2)
Overexpression of P-glycoprotein induced by gene rearrangement:Jun NAGAYAMA1,Akira KIUE2,Hitoshi KUSABA1,Masaharu NAKAYAMA1,Taishi HARADA1,Morimasa WADA1,and Michihiko KUWANO1 (Dept. of Biochem.,Kyushu.Univ.Sch.Med.1,Omiya Res., Nikken Chemicals Co.,LTD.2)
【目的】P糖蛋白の発現はがん細胞における多剤耐性に関与しているが、生体内における発現機序については十分に明らかにされていない。これまで我々は、培養がん細胞や臨床サンプルにおいてP糖蛋白の発現誘導には、遺伝子増幅、転写因子ならびに遺伝子上流領域のDNAメチル化などの関与について報告してきた。今回、がん患者の治療に際しての生体内を反映し、腫瘍の不均一性を排除した系を作成したいと考えた。そこでマウス白血病細胞を用いたがん化学療法in vivoモデルを樹立した。【方法・結果】(1)マウス腹腔内で白血病細胞株P388を継代、Vincristineの腹腔内投与を行い、感受性が低下する白血病細胞が出現するまでのいくつかの段階で、P388細胞の採取を行った。(2)マウスmdr1遺伝子の発現誘導がみられた初期段階で、mdr1遺伝子の5'-制御領域にDNAメチル化ではなく、遺伝子の再構成を生じていた。この領域の塩基配列解析を進めている。【考察】白血病マウスを対象にした多剤耐性の分子的背景を把握、患者生体内の耐性出現の機序と対比させ、がん治療のモデルとして提示したい。