ABSTRACT 588(12-4)
 一般演題一覧 トップ 


STAT3遺伝子のシスプラチン耐性細胞における転写制御:加藤健1、伊勢知子1、永谷群司1、今村寿宏1 、野本実1、高野裕士1、中野修治2、仁保喜之2、河野公俊11産業医大・医・分子生物、2九大・医・一内科)

Transcriptional Regulation of STAT3 gene in Cisplatin-resistant Cells :Ken KATO1, Tomoko ISE1, Gunji NAGATANI1, Toshihiro IMAMURA1, Minoru NOMOTO1, Hiroshi TAKANO1, Shuji NAKANO2, Yoshiyuki NIHO2, Kimitoshi KOHNO1 (1Dept. of Mol. Biol., Univ of Occup. & Environ. Health, 2First Dept. of Int. Med., Kyusyu Univ. Sch. Med.)

[目的]シスプラチン耐性細胞において発現が亢進しているSTAT3遺伝子の発現制御の分子機序を明らかにする。[方法]マウスcDNA塩基配列からprimerを作成し、bubble-PCR法によりヒトSTAT3遺伝子promoterを単離した。そのDNAをprobeにしてゲノムライブラリーから、STAT3遺伝子を単離した。primer伸長法により、転写開始点を決定し、さらに1st.exon及びその上流約2kbの塩基配列を決定した。その部分の塩基配列を用いてluciferase assayを行い、promoter活性についての検討を行った。
[結果](1)Nothern blot法により、STAT3遺伝子のシスプラチン耐性細胞での発現の亢進が認められた。(2)シスプラチン処理により、STAT3 mRNAの発現が誘導された。(3)ヒトSTAT3promoterはGCrichで、マウスSTAT3promoterの塩基配列との相同性は約80%と高く、転写開始点より約-500bp上流域のCRE, SBE, Sp1などの転写因子結合部位は両者にて高度に保存されていた。(4)シスプラチン耐性細胞において、STAT3遺伝子の増幅は認められず、promoter活性の著明な亢進が認められた。このことは、STAT3遺伝子のシスプラチン耐性細胞での過剰発現は、転写レベルでの活性化によるものであると考えられた。