ABSTRACT 626(14)
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p53遺伝子機能を利用した遺伝子治療・分子シャペロン治療の癌治療への応用の検討: 高橋昭久, 松本英樹, 大西健, 玉本哲郎, 大西武雄(奈良医大・生物・腫放, 福井医大・放基)

Examination of application of gene therapy and molecular chaperone therapy to cancer therapy using p53 gene functions: Akihisa TAKAHASHI1, Hideki MATSUMOTO2, Ken OHNISHI1, Tetsuro TAMAMOTO3, Takeo OHNISHI1 (Depts. 1Biol., 3Oncoradiol. Nara Med. Univ., 2Dept. of Expt'l. Radiol. Fukui Med. Univ.)
 
[目的]p53の遺伝子型が放射線・温熱療法の先行指標となり得ることを我々はこれまで主張してきた。今回は正常型p53の癌細胞を持つ患者のみならず欠失・変異型p53をもった患者もp53遺伝子導入(治療)やp53タンパク質の構造変換(分子シャペロン)を行なうことにより温熱療法の対象となり得るかどうかを検討した。
[方法]マウス線維芽細胞MT158-8(p53-/-)にElectroporation 法(600 V/4 mm, 3 times)でp53遺伝子の導入を行ない、p53の遺伝子型のみが異なる細胞系で温熱感受性及びグリセロール処理(0.6M)による変異型p53の正常型p53への機能的変化をコロニー形成法及びDNA ladder検出法で調べた。
[結果・考察]正常型及び変異型p53導入細胞はそれぞれコントロールベクター導入細胞に比べ温熱高感受性及び温熱抵抗性を示し、正常型p53導入MT158-8細胞は温熱によるアポトーシスの誘導が見られた。また、あらかじめグリセロール処理を行うことにより変異型p53導入細胞でも温熱処理後のアポトーシスの誘導が見られるようになった。以上の結果は、p53を先行指標としたとき、正常型p53遺伝子導入やグリセロール処理によりp53欠失あるいは変異型p53遺伝子を持つ患者も温熱療法の対象となり得る可能性を示唆する。