ABSTRACT 629(14)
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放射線感受性予測法としての微小核生成頻度およびアポトーシス頻度測定の同時評価法の検討: 笹井啓資,柴田徹,渋谷景子,平岡真寛(京大・医・放)

Simultaneous Evaluation of Micronucleus and Apoptosis Frequencies as a Predictive Assay for Cell Survival after Irradiation.: Keisuke SASAI, Toru SHIBATA, Keiko SHIBUYA, Masahiro HIRAOKA.(Dept of Radiol, Kyoto University Hospital)

(目的)放射線感受性予測法として微小核形成頻度やアポトーシス頻度が用いられる。しかし、放射線照射後の細胞死は一つの指標では完全に予測困難である。本研究では因子の同時評価法を中心に検討する。
(方法)5種類のヒトおよび齧歯類由来培養細胞を用いた。放射線照射後のコロニー形成能から細胞生存率を求めた。微小核形成頻度算出はCytokinesis-block 微小核形成試験を用いた。アポトーシスはTUNEL法を用い、接着細胞および浮遊細胞における頻度を求めた。細胞生存率と個々の因子および因子の単純和との相関関係を求めた。さらに、重回帰分析を用い個々の因子を同時に解析する方法を検討した。
(結果)細胞の種類には非依存性に、浮遊細胞の頻度、ならびに微小核頻度、接着細胞中のアポトーシスの頻度および浮遊細胞頻度の単純和が生存率と比較的よい相関を示した。細胞の種類により微小核頻度が生存率と相関しない場合と、接着細胞中のアポトーシスの頻度が相関しない場合があり、両者の単独での使用は全ての細胞に応用できないことが分かった。重回帰分析を用いた場合、微小核形成頻度と浮遊細胞頻度あるいは微小核形成頻度と接着細胞中のアポトーシスの頻度を用いたモデルが有用であることが示された。
(結論)個々の放射線感受性予測因子を統計的に組み合わせ同時評価することが重要と考えられた。