ABSTRACT 630(14)
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トポイソメラーゼ I 阻害剤(カンプトテシンおよびCPT-11代謝物、SN-38)による放射線増感効果:池淵誠、寺戸勅雄、木村博(滋賀医大・放基医)

Radiosensitization by Camptothecin and a Metabolite of CPT-11, SN-38 : Makoto IKEBUCHI, Tokio TERADO, Hiroshi KIMURA. (Dept. of Exptl. Radiol., Shiga Univ. of Med. Sci.)

〔目的〕潜在性致死損傷(PLD)の修復と亜致死損傷(SLD)の修復はともに癌の放射線治療に重要な意義を持つ。我々は今まで、DNA依存性蛋白キナーゼの触媒ユニットに欠損をもち放射線感受性であるscid細胞は、0.5 M NaClに感受性であるPLDの修復とPLD修復とに欠陥があることを示した。この細胞を用いてトポイソメラーゼ I (トポ I )阻害剤であるカンプトテシンとSN-38による放射線増感効果とPLDおよびSLD修復の阻害との関係を調べようとした。
〔結果・考察〕放射線を照射したBalb/c 3T3細胞とscid細胞にトポ I 阻害剤を4時間処理した。Balb/c 3T3細胞では肩のある放射線生存率曲線を示すが、阻害剤処理によって肩の幅が減少し、増感効果がみられた。一方、肩のない生存率曲線を示すscid細胞では増感効果は見られなかった。次に、放射線の分割照射の間にトポ I 阻害剤を処理し、SLD修復への影響を調べた。Balb/c 3T3細胞では分割による生存率の増加が抑えられ、SLD修復が阻害されることがわかった。このことと、SLD修復欠損であるscid細胞では増感作用が見られないことから、トポ I 阻害剤の放射線増感効果はSLD修復を通して行われることが示唆される。