ABSTRACT 632(14)
重粒子線に対するscid細胞の感受性:奥村 寛、岡市協生 (長崎大・医・原研放射線)
Radiosensitivity of scid cells to heavy particles: Yutaka OKUMURA, Kumio OKAICHI (Dept. of Radiat. Biophys., Nagasaki Univ. Sch. of Med.)
[目的]scid細胞は、X線に対して高感受性を示す。scid細胞にヒト8番染色体を導入したscidハイブリッド細胞は、親株であるBalb/c細胞と同じ程度に感受性は回復する。scid細胞は、DNA二本鎖切断を認識する蛋白キナーゼ(DNA−PK)が欠損しいる。。我々は、scid細胞の重粒子線に対する感受性を調べた。
[方法]細胞は、scid細胞およびscidハイブリッド細胞を用いた。重粒子線として、炭素線290MeV/u(LET:50keV/μm)で照射した。
[結果および考察]X線照射後のDNA二本鎖切断の再結合は、早い再結合と遅い再結合が見られた。すなわち、早い再結合はDNA−PKが認識し修復するDNA障害であった。細胞致死効果のRBEは、scid細胞が1.3であったのに対して、scidハイブリッド細胞は1.5であった。また、DNA−PKが認識するDNA障害のRBEは1.0であった。このことは、DNA−PKが認識するDNA障害は、放射線量のみに依存し、LETに依存しない障害であると結論できた。