ABSTRACT 634(14)
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エレクトロポレーション(EP)によるBSH中性子捕捉療法(BNCT)効果の選択的増強の可能性の検討:小野公二、木梨友子、増永慎一郎(京大・原子炉)

Selective enhancement of cell killing effect of BSH- BNCT by electroporation:Koji ONO, Yuko KINASHI, Shin-ichiro MASUNAGA (Res . React. Inst., Kyoto Univ.)

〔目的〕BNCTに用いられているBSHの膜通過性に関して見解が分かれている。EPによりBSHを細胞へ強制導入し、BNCT効果を調べ、上記の点を解明すると共に、EP併用BNCTの有用性を検索する。〔研究方法〕50-100万個のSCCVII腫瘍細胞を試験濃度のBSHを含んだ培地に浮遊させ、バイオラド社製EP装置でもってBSHの細胞内導入を行った。電場強度 = 0.75 kV/cm、静電容量=960μF、通電時間10-12秒の条件である。EP後、細胞を遠沈し、通常培地に置き換え中性子を照射した。中性子照射後、細胞を培養皿に蒔いてコロニーを形成させた。〔結果と結論〕細胞生存率は中性子量に伴い指数関数的に減少した。10ppm(硼素濃度、以下同じ)のBSH存在下でEPを行うと劇的にBNCT効果が増強し、10ppmの硼酸存在下の効果に近かった。BSH・EP後の細胞では遠沈操作を反復してもBNCT効果は減少しなかった。BSH・EP後の細胞を通常培地で増殖させた後のBNCT効果は、細胞増殖率で補正した細胞内硼素濃度から推定される効果と同等であった。BSHが膜を通過し難いこと、細胞に集積したBSHは容易には漏出しないことが示された。従って、BSH投与後にEPを行い、適当な待期時間の後、中性子照射を行えば選択性の非常に高いBNCTの実現が期待できる。