ABSTRACT 638(15-1)
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p53酵母アッセイ法の利点と問題点:外木秀文1、柏崎晴彦1、高橋将人1、中田大地1、巴一1、常松泉1、浜田淳一1、細川真澄男2、守内哲也1(北大・医・1癌研細胞制御、2病理)

Advantages and problems of p53 yeast functional assays: Hidefumi TONOKI1, Haruhiko KASHIWAZAKI1, Masato TAKAHASHI1, Daichi NAKATA1, Yi BA1, Izumi TSUNEMATSU1, Jun-ich HAMADA1, Masuo HOSOKAWA2, Tetsuya MORIUCHI1 (1Div. Cell Biol. and 2Pathol., Cancer Inst., Hokkaido Univ. Sch. Med.)

【目的】我々は、ヒト・ラット・マウスおよびハムスターのp53酵母アッセイを多数の症例で行い、多くの問題に遭遇した。本法の利点と問題点についてデータをまとめ報告する。【結果】1) ヒトの自然発癌では殆どがクローナルな変異であるのに対し、ラット化学発癌では非クローナルな変異が多くみられた。2) ヒト癌ではSSCP法や免疫組織染色に比べ、p53変異の検出率が格段に優れ、臨床上価値が高い。3) マウス・ラットでは、転写スリップが検出された。これは、生物学的に意味のある現象で新しい研究対象となるが、遺伝子レベルの変異を検出する上で、バックグラウンド赤コロニーの増加を招き問題となった。4) RNAの質が劣化した場合、鋳型スイッチングがおこり偽陽性を生じるが、一定の法則があり欠失との鑑別は可能であった。5) p53のDNA結合/転写活性能に基づく変異の検出が可能で、中間的形質であるピンクコロニーを呈する変異として、温度感受性変異の他に、この機能が一部保持されると考えられる非温度感受性変異が新たに発見された。【考察】p53の遺伝子変異の検出に関しては、現在酵母アッセイに優るものはない、しかし、上述した問題点を正確に理解しなければ大きな誤解を生じる可能性がある。