ABSTRACT 644(15-1)
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遺伝子分析により診断したユーイング肉腫の化学療法と幹細胞移植の効果:日野原眞一1,土屋登嗣2,麦島秀雄3,金子安比古2(埼玉がんセ・病1第二診療部, 2化学療法部, 3日大小児)

Genetic diagnosis of Ewing sarcoma and outcomes of the treatment : Shin-ichi HINOHARA1, Takashi TUCHIYA2 , Hideo MUGISHIMA3, Yasuhiko KANEKO2 ( 1Second Clinical Dept., 2Dept. of Cancer Chemotherapy, Saitama Cancer Center Hospital, 3Nihon Univ. )

(目的)病理学的診断の難しいユーイング肉腫を遺伝子診断を併用して正確に診断する。また、 特定の化学療法や幹細胞移植療法の治療成績を検討する。(対象および方法)1986年〜1998年に当センターで遺伝子診断により、EWS遺伝子再構成またはEWS融合遺伝子を検出しユーイング肉腫と診断した29例である。治療効果の判定可能な25例の治療方法と治療成績を分析した。(結果および考察)1986年〜1995年に発病した患者は19例で9例は神経芽腫のA1プロトコール、他10例はその他のプロトコールにより治療を受けた。1996年以降に発病した6例はPBSCT研究会のEwing/PNETプロトコールによる治療を受けた。25例の50%生存期間は26ヶ月であり、化学療法±手術により完全寛解に導入された患者は19例(76%)で、その50%生存期間は35ヶ月であった。寛解導入不能であった残り6例の50%生存期間は9ヶ月であった(P<0.001)。完全寛解に導入された19例の中で、幹細胞移植を受けた6例の予後は幹細胞移植を受けなかった13例より良好であった(P<0.05)。寛解導入できたユーイング肉腫に対して、積極的に幹細胞移植療法を実施すべきと考える。