ABSTRACT 648(15-1)
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乳癌における術後予後の遺伝子診断;5年プロスペクティブ研究:江見 充1),松本智司1),吉本賢隆2),霞 富士雄2),坂元吾偉3),中村祐輔4)(日本医大・老研・分子生物1),癌研・外科2)・病理3),東大・医科研・ヒトゲノム4)
  
Genetic diagnosis of postoperative prognosis in breast cancer; a 5-year prospective study : Mitsuru EMI1, Satoshi MATSUMOTO1, Masataka YOSHIMOTO2, Fujio KASUMI2, Goi SAKAMOTO3,, Yusuke NAKAMURA4 (1Dept. Mol. Biol., Inst. Gerontol., Nippon Med. Sch., 2Dept. Surg., 3,Dept. Pathol., Cancer Inst., 4Lab. Mol. Med., Inst. Med. Sci., Univ. Tokyo)
  
[目的]乳癌における染色体欠失(LOH)と術後予後との関連を検討し、予後因子として有用となり得るDNAマーカーを選定する。[方法]レトロスペクティブ研究:乳癌根治術後、死の転帰をとった死亡群57例と術後5年以上の生存群95例との間で24カ所の染色体領域に存在する33ケのDNA多形性マーカー座におけるLOHの頻度を比較検討した。プロスペクティブ研究:術後5年以上経過した264症例についてLOHの有無と生存率との関連を比較検討した。[結果]レトロスペクティブ研究:24領域のうち7領域において、生存群に比べ死亡群において有意に高頻度なLOHを検出した。プロスペクティブ研究:4領域においてLOH(+) 群において不良な予後がKaplan - Meier 解析およびLog - lank 検定において認められた。また、これらの複数の領域においてともにLOHを示した症例では、5年後の乳癌再発死亡の相対危険率は、LOH(−) 群に較べ、8〜10倍に上昇することが明らかとなった。[考察]本研究で用いたDNAマーカーによる手術時の切除乳癌の遺伝子診断は乳癌における予後の判定において大変有用である。