ABSTRACT 686(15-5)
 一般演題一覧 トップ 


ラツトMHC classIを用いた肝癌に対する遺伝子治療の基礎的検討:馬場 都1、飯石浩康2、竜田正晴(1大阪成人セ・研2、2大阪成人セ・3内)

MHC classI gene inhibits the tumorigenicity of rat hepatoma cell line(3'-mRLh-2):Miyako BABA1, Hiroyasu IISHI2, Masaharu TATSUTA1(1Dept. of Gastroenterol. Oncol., 2Dept. of Gastroenterol., Osaka Medical Center for Cancer and Cardiovascular Diseases)

目的:腫瘍細胞に対し細胞障害作用を示すCTLの活性化にはhelperT細胞が腫瘍細胞上においてMHC classIに提示された腫瘍抗源を認識することが必要である。従つて、MHC classIの過剰発現はCTLの抗腫瘍作用を高めると考え、MHC classI遺伝子をラツト肝癌細胞に導入後、ラツトに移植し、肝癌に対する免疫遺伝子治療の基礎的検討を試みた。
方法:(1) ラツトfunctional classical MHC classIであるRT1・A(a)の塩基配列より翻訳開始コドンを含むupstreamprimer及び停止コドンを含むdownstream primerを作製し、ratの正常肝より抽出したtotal RNAを用い、RT-PCR法によりcDNAを得、発現ベクター pCR3.1に組み込みクローン化し、 sequence分析による確認を行なつた。(2)ラツト高文化型肝細胞癌3'-mRLh-2に、pCR3.1-MHC classIをcationic lipid Tfx(TM)-20を用いて導入した後、20000000cells/ratを4週齢のDonryu ratの背部筋肉へ移植し、腫瘍の形成を検討した。 対照群にはpCR3.1を導入した。
結果:pCR-MHC classI を導入した3'-mRLh-2細胞株を移植することにより,腫瘍が形成される確率及び腫瘍の重量は、対照群に比し、共に減少していた。
結論:pCR3.1-MHC classI,RT1・A(a),はラツト肝細胞癌に対して抗腫瘍性を示し、遺伝子治療に有効であると考えられる。