ABSTRACT 687(15-5)
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免疫遺伝子治療における液性免疫誘導の検討:井上直也,金岡俊治,山崎誠二,有井滋樹,今村正之(京大・医・腫瘍外科)

Humoral immune response elicited by immunogene therapy:Naoya INOUE,Shunji KANAOKA,Seiji YAMASAKI,Shigeki ARII,Masayuki IMAMURA(Dept. of Surgery & Surgical Basic Science, Kyoto Univ.)

[概要]抗原提示細胞である樹状細胞(DC)に着目し、1. plasmid(50μg)(i.d.)1回、2. DC+plasmid+cationic liposome(i.d.)2回、3. adenovirus transduced DC(i.d.)2回、による3つの免疫マウスを用い、モデル腫瘍抗原としてのβ-galactosidase(β-gal)に対する液性免疫を指標とし、特異的免疫誘導能を検討した。DCとしてBalb/cマウスより脾細胞を回収し、2時間後に浮遊細胞を除去、その18時間後に付着細胞を除去し、GM-CSF存在下に約2週間培養したものを使用。plasmidはpCAG-lacZ、adenovirus vector はAdex1CALacZ、cationic liposomeはLipofectamineを使用。抗体測定の2次抗体にanti-mouse IgG1, G2a, G2bを用いた。[結果]1. plasmid投与群ではマウス免疫グロブリン(mIg)、抗β-gal抗体の全てが(PBS投与群と比較して)有意に増加。2. plasmid+DC+cationic liposome投与群ではmIgとともに抗β-gal抗体のIgG2aのみが(DC投与群と比較して)有意に増加。3. adenovirus transduced DC投与群ではmIgは有意な増加を認めず、抗β-gal抗体が(DC投与群と比較して)有意な増加を示した。[考察]plasmid投与、plasmid+DC+cationic liposome投与に対し、adenovirus transduced DC投与ではマウス免疫グロブリンの増加は認められず、抗β-gal抗体の特異的な産生増加を認め、腫瘍抗原遺伝子を組み込んだadenovirus transduced DCによる抗原特異的な免疫誘導の可能性が示唆された。