ABSTRACT 689(15-5)
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マウス白血病細胞に対する免疫遺伝子治療ーB7-1とB7-2分子の差異の検討:高橋強志1、平野直人1、高橋宗春1、千葉 滋2、矢崎義雄1,2、平井久丸21.東京大学第三内科、2. 東京大学無菌治療部)

Immno-genetherapy against murine leukemia-the evidence that B7-1 and B7-2 are functionally distinct: Tsuyoshi TAKAHASHI1, Naoto HIRANO1, Tokiharu TAKAHASHI1, Shigeru CHIBA2, Yoshio YAZAKI1,2, Hisamaru HIRAI2 (13rd Dept., Int. Med., and Dept. of Cell Therapy and Transplantation Med.,Fac., Med., Univ. of Tokyo.)

[目的]B7分子にはB7-1, B7-2分子があり、共にCD28のリガンドとなるが抗腫瘍免疫におけるその差異に関しては明らかでない。本研究は両分子の抗腫瘍免疫の誘導能を比較することを目的とした。[方法]マウス骨髄性白血病細胞株である8709細胞に、レトロウイルスを用いてB7-1およびB7-2遺伝子を導入し、これらの発現細胞を限界希釈してモノクローナルな細胞株を複数樹立した。同系であるC3Hマウスに腹腔内接種し造腫瘍性および抗腫瘍効果のエフェクター細胞を調べた。また、放射線照射B7導入白血病細胞のワクチン効果を検討した。[結果]In vitroでの細胞増殖およびヌードマウスでの造腫瘍性は野生株と8709/B7-1、8709/B7-2細胞で明らかな差異を認めなかった。同系マウスにおいては、8709/B7-1、8709/B7-2細胞で造腫瘍性の低下を認めたがその効果は8709/B7-2細胞の方が大きかった。エフェクター細胞はCD4+T細胞及びCD8+T細胞であった。また、いずれのB7導入細胞においてもワクチン効果は確認できなかった。[考察]B7分子導入腫瘍細胞において抗腫瘍効果はB7-1分子の方が有効だとする報告が多い。今回の結果はB7-2分子の方が有効である場合もあり、B7分子を用いた免疫遺伝子治療を行うにあたっては両分子を適切に使い分けていくことの重要性が示唆された。また、今回の実験においてワクチン効果は確認できなかったが、現在B7分子に加えICAM-1、IL-2分子を共発現させワクチン効果誘導に必要な条件を検討中である。