ABSTRACT 690(15-5)
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IL-4遺伝子導入による、抗腫瘍効果の機序の検討:西堀宗樹, 向田直史(金沢大・がん研・分子薬理)

The mechanisms of anti-tumor effect by tumor-derived mIL-4:Hiroki NISHIHORI, Naofumi MUKAIDA(Dept. of Molecular Pharmacology, Cancer Research Inst., Kanazawa Univ.)

〔目的〕サイトカイン遺伝子導入腫瘍細胞による腫瘍退縮、抗腫瘍効果については、様々の報告がある。しかし、抗腫瘍効果のメカニズムについては、不明な点が多く残されている。この機序を詳しく解明することは、遺伝子導入によるより効果的な癌治療法の開発につながると考えられる。今回、マウス結腸癌細胞株colon26にIL-4遺伝子を導入した細胞をマウスに皮下接種した系を用いて、腫瘍排除にかかわる浸潤細胞およびサイトカインの分泌についてその経時的変化とともに検討した。
〔方法〕BALB/c由来のマウス結腸癌細胞株colon26に、マウスIL-4遺伝子を導入した細胞株を、BALB/c、BALB/c nu/nu、SCIDにそれぞれ皮下接種し、腫瘍の生着および腫瘍接種部位あるいはリンパ節における組織像、遺伝子発現について検索を行った。
〔結果〕BALB/cに親株あるいはベクターのみを遺伝子導入したコントロール株を接種した群では、全例生着し、2週間前後で全例死亡した。一方、IL-4遺伝子導入株を接種した群では、全例拒絶した。これらの拒絶マウス群にコントロール株を再接種したところ、全例拒絶した。さらにIL-4遺伝子導入株接種群では、リンパ節の腫脹も見られた。また、ヌードマウス、SCIDの場合、コントロール株接種群では、BALB/cと同様全例生着し、2週間前後で死亡したのに対し、IL-4遺伝子導入株接種群では、生着するが、体重減少はみられず、生存日数も接種後60日前後まで延長したことより、IL-4による癌悪液質の抑制には、T細胞を介さないと考えられる。また、腫瘍部位、リンパ節における組織、細胞及び発現遺伝子については現在検討中である。