ABSTRACT 691(15-5)
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Interleukin-15 (IL-15)を用いた癌免疫遺伝子療法:硲 彰一, 吉村 清, 飯塚徳男, 山本光太郎, 森 尚秀, 吉野茂文, 岡 正朗(山口大・医・2外)

Cancer immuno-gene therapy using tumor cells transduced with interleukin-15 (IL-15) : Shoichi HAZAMA, Kiyoshi YOSHIMURA, Norio IIZUKA, Koutaro YAMAMOTO, Naohide MORI, Shigefumi YOSHINO, Masaaki OKA (Dept. of Surg. II, Yamaguchi Univ. Sch. of Med.)

【目的】IL-15 を用いた癌免疫遺伝子治療について検討した。【方法】IL-15 cDNAを組み込んだ発現 plasmid vector を作製した。lipofection 法により Meth-A およびcolon26にそれぞれ遺伝子を導入し、Meth-A/IL-15, colon26/IL-15 とした。vector alone は Meth-A/Neo, colon26/Neoとした。これら腫瘍細胞を同系のBALB/c および BALB/c nu/nu マウス皮下に移植し、腫瘍増殖・移植局所の組織像などを検討した。【結果および考察】BALB/c マウスでは、Meth-A/IL-15 の増殖は Meth-A/Neo と比較して明らかに抑制され腫瘍細胞は全て拒絶された。Meth-A/IL-15 移植局所には単核球 (CD4+ and Muc-1+) および好中球の浸潤を認め、腫瘍胞巣の構築は破壊されていた。一方、Meth-A/Neo では細胞浸潤は認めなかった。BALB/c nu/nu マウスではMeth-A/IL-15 と Meth-A/Neo の間に著差を認めず、Meth-A/IL-15 誘導免疫反応は T 細胞が中心的役割を担うと考えられた。さらにMeth-A/IL-15 拒絶マウスでは、Meth-A 親株の再移植を拒絶し、局所には著明な単核球 (CD8+ and Muc-1+) の浸潤を認めたが、colon-26 親株は制御できなかった。colon26/IL-15 はIL-15の産生を認めず、colon26/Neo に比較して腫瘍原性の低下は認めなかった。【結語】IL-15遺伝子導入はMeth-Aでは腫瘍拒絶と腫瘍特異免疫が得られたが、colon26ではIL-15産生を認めず、vector の工夫が必要と考えている。