ABSTRACT 700(16)
進行・末期がん患者の消化管閉塞に伴う症状の緩和に対する酢酸オクトレオチド投与の検討:志真泰夫 1,大津 敦 1, 佐々木康綱 1, 白尾国昭 2,(1.国立がんセンター・東・内, 2.国立がんセンター・中央・内)
Evaluation of the somatostatin analogue octreotide as therapeutic agent in gastrointestinal obstruction; Yasuo SHIMA 1, Atsushi OHTSU 1, Yasutsuna SASAKI 1, Kuniaki SHIRAO 2, (1 Dept.of Int.Med. , Natl. Cancer Hosp. East., 2 Dept. of Int. Med.,Natl. Cancer Ctr Hosp.)
【目的】進行・末期癌患者に消化管閉塞が発症した場合、悪心・嘔吐など治療困難な消化器症状を伴う。これらの症状は、患者のQOLを著しく低下させるが、薬物による症状の緩和は確立していない。そこで、我々は消化液分泌抑制作用等の消化器機能に作用するソマトスタチン誘導体=酢酸オクトレオチドによる消化管閉塞に伴う症状の改善効果及び薬物動態について検討した。
【対象・方法】悪性腫瘍の進行により消化管閉塞を起こし、それに伴う嘔吐が24時間中に2回以上発現し、他の治療法では治療困難な20歳以上75歳未満の患者を対象とした。酢酸オクトレオチドは300μg/日を6日間持続皮下投与した。主要評価項目は、嘔吐回数の減少をJCOGの副作用判定基準を用いて評価した。胃管挿入症例においては消化液量の推移についても検討した。
【結果】現在までに登録された症例は8例で、その内訳は胃癌6例、卵巣癌1例、大腸癌1例であった。投与開始前の患者状態としては、悪心・嘔吐の程度はGrlが1例、Gr2が2例、Gr3が5例で胃管挿入されていた患者は1例(胃癌)だけであった。効果は、NC(No control)が胃癌の2例、PC(Partial Control)が胃癌3例、卵巣癌1例の計4例、CC(Complete Control)は0例、中止2例であった。
【結果】本試験は現在進行中である。酢酸オクトレオチドは消化管閉塞に伴う消化器症状の改善を期待できる薬剤と考えられる。