ABSTRACT 705(17)
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症例対照研究による乳癌検診の有効性評価とマンモグラフィ導入検診:大内憲明1,辻一郎2,金村政輝1,椎葉健一3,原田雄功1,松野正紀3,里見進1,久道茂21東北大・医・二外、2公衆衛生、3一外)

Case control study of breast cancer screening and introduction of mammography: Noriaki OHUCHI1, Ichiro TSUJI2, Seiki KANEMURA1,2, Ken-ichi SHIIBA3, Yuko HARADA1, Seiki MATSUNO3, Susumu SATOMI1 and Shigeru HISAMICHI2 (1Second Dept. Surg., 2Dept. Public Health, and 3First Dept. Surg., Tohoku Univ. Sch. Med.)

[はじめに] 視触診による乳癌検診の有効性に関しては、これまで必ずしも十分な評価が行われていない。我々は症例対照研究により乳癌検診の死亡率減少効果を検討した。
[対象と方法] 宮城県対がん協会、群馬県健康づくり財団が乳癌検診を行っている市町村を対象地域とした。症例は平成5年1月から平成7年12月までに乳がんにて死亡した女性で、対照は症例の死亡時に生存し、居住地区、年齢(生年±2年)をマッチさせた。乳癌死亡に対する検診受診のオッズ比および95%
信頼区間を条件付きロジスティック・モデルを用いて算出した。
[結果] 乳癌死亡例を148例収集したが、診断時年齢が35歳未満の症例などを除外し、最終的に症例93例、対照375例を解析した。オッズ比は診断日から1年以内では0.93(95%信頼区間0.48-1.79)であった。2年以内ではオッズ比は0.86(0.46-1.60)であり、5年まで漸減傾向を示した。オッズ比を検診受診回数で補正すると、1年以内で1.21、2年以内で1.13と上昇した。
[考案] 視触診による乳癌検診の有効性を証明することはできなかった。サンプル数が十分でなく断定することは尚早であるが、有効性には限界があると云える。検診により乳癌死亡を確実に減少させるためには、欧米で有効性が認められているマンモグラフィ導入の検討が欠かせない。今回は日本でのマンモグラフィによる検診の最新の成績について考察を加える。