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質問紙調査によるがんの罹患把握の感度:厚生省コホート研究 I :吉永(山田)亜子, 佐々木敏, 津金昌一郎(国立がんセ・研支所・臨床疫学)

Sensitivity of the cancer incidence for self-administered questionnaire in JPHC Study Cohort I: Ako YOSHINAGA, Satoshi SASAKI, Shoichiro TSUGANE (Epidemiol. and Biostat. Div., Natl. Cancer Ctr. Res. Inst. East)

【目的】地域住民を対象としたコホート研究において、自記式質問紙調査より把握したがんの罹患が、真の罹患をどの程度反映しているものであるかを検討する。【方法】岩手二戸、秋田横手、長野佐久、沖縄石川の4保健所管内の昭和5年から24年生れの住民を対象として、1990年に開始したコホート研究(厚生省コホート研究 I )において、1995年の中間調査以前にがんの発症が医療機関等から登録され、かつ、この5年間の病気や手術についての設問を含んだ中間調査質問紙に回答した735名を解析の対象とした。質問紙にがん発症(+)と回答した者の割合を自己申告率と定義し、がんの部位別、手術施行の有無別、地域別に検討した。【結果】自己申告率は乳がん74%、子宮がん37%、胃がん36%、肺がん13%、大腸がん12%、肝がん7%、全がん平均30%であり、乳がん以外では低く、がんの種類による差が見られた。手術施行の有無別では、大腸がん20%と2%、子宮がん48%と9%、胃がん49%と8%、乳がん95%と58%であり、手術(+)と回答した者に自己申告率が有意に高かった。地域別では、沖縄23%、岩手と秋田が26%、長野37%であり、長野で高い傾向にあった。【結論】本研究の対象集団における質問紙によるがん罹患把握の感度は一般に低く、がんの種類や手術の有無や地域により差が認められた。