ABSTRACT 1806(P7-4)
ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター産生阻害作用に基づく血管新生阻害剤の開発:遠藤良夫1、中川清仁1、藤田秀人2、荒川和人1、吉田孝寛1、前田満和3、米村 豊2、佐々木琢磨1(1金沢大・がん研・化療、2医・二外、3国立がんセ・研・化療)
Anti-angiogenic agents sorted according to the effect of inhibitory action on the production of urokinase-type plasminogen activator: Yoshio ENDO1, Kiyohito NAKAGAWA1, Hideto FUJITA2, Kazuhito ARAKAWA1, Takahiro YOSHIDA1, Mitsukaki MAEDA3, Yutaka YONEMURA2, Takuma SASAKI1(1Dept. Exp. Ther., Cancer Res. Inst., 22nd Dept. Surgery, Kanazawa Univ., 3Chemother. Div. Natl. Cancer Center Res. Inst.)
【目的】ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター(u-PA)産生阻害作用に基づく血管新生阻害剤の開発を目的とし、イルソグラジン[6-(2,5-dichlorophenyl)-2,4-diamino-1,3,5-triazine]誘導体の血管新生阻害作用及びヒト固形腫瘍に対する抗腫瘍作用を検討した。【方法】ヒト線維肉腫、HT-1080細胞に対するu-PA産生阻害活性を指標としたin vitro試験法及び受精鶏卵漿尿膜を用いたin vivo 試験 (CAM) 法により血管新生阻害効果を評価した。マウス異種移植実験モデルを用いてHT-1080及び結腸がんHT-29に対する抗腫瘍効果を検討した。【結果】11種のイルソグラジン誘導体の中で4PyDAT [6-(4-pyridil)-2,4-diamino-1,3,5-triazine]は最も強いu-PA産生阻害作用を示した。CAM法により血管新生阻害効果を評価した結果、4PyDATの阻害作用はイルソグラジンに比べ明らかに強力であった。さらに、4PyDATは経口投与によりHT-1080及びHT-29のいずれの腫瘍に対しても有意な増殖抑制作用を示した。【考察】イルソグラジン誘導体の一つである4PyDATは母化合物よりも優れた血管新生阻害活性を示すことを見出した。今後、4PyDATをリード化合物としたさらに有用な血管新生阻害剤の開発が期待される。