ABSTRACT 1807(P7-4)
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抗胃潰瘍薬Irsogladineによる大腸癌原発巣切除後転移抑制効果の検討:田中 達郎, 今野 弘之, 馬塲 正三, 神谷 欣志, 諏訪大八郎, 那須野寛也, 鈴木章男,馬場 恵, 西野 暢彦, 中村 達(浜松医科大学第2外科)

The prevention of hepatic metastasis of colon cancer after surgery by Irsogladine, anti-gastric ulcer agent : Tatsuo TANAKA, Hiroyuki KONNO, Shozo BABA, Kinji KAMIYA, Daihachiro SUWA, Hiroya NASUNO, Akio Suzuki, Megumi BABA, Nobuyuki Nishino, Satoshi NAKAMURA ( 2nd Dept. Surgery, Hamamatu Univ.)

[目的] 今日大腸癌原発巣切除は多くの症例で可能となり、大腸癌患者の予後を決定する重要因子は肝転移である。Irusogladine(Gaslon N)は既に臨床で用いられている抗胃潰瘍薬であるが,血管新生抑制作用を有する事が近年報告された。そこで、我々はヒト大腸癌同所移植モデルを用い、大腸に移植した腫瘍を切除する原発巣切除モデルを確立し、Irusogladineの術後肝転移抑制効果を検討した.[方法] ヌードマウスにヒト大腸癌(TK4)を同所移植(対照群)し、移植7日後よりIrusogladine 200mg/kgを5日間/週経口投与した内服単独群,腫瘍移植16日目に原発巣切除を施行した切除単独群,切除後にIrusogladine 200mg/kgを5日間/週経口投与を併用した切除後内服群の4群を設定した.[結果] 1.原発巣腫瘍重量は対照群:0.78±0.2 g,内服単独群:0.86±0.18 gと原発巣腫瘍増殖抑制効果を認めなかった.2.肝転移は対照群:10/12(匹)、内服単独群:6/14(匹),切除単独群:6/12(匹)、切除後内服群:1/13(匹)と対照群に比し内服単独群(p<0.05)が,対照群と内服単独群に比し切除後内服群(p<0.05)が有意な肝転移抑制効果を認めた.3.体重は4群間に有意差を認めなかった.[結語] 血管新生抑制物質により原発巣切除後の肝転移が制御され得る事が示唆されたが,Irusogladine投与によると思われる重篤な副作用を認めなかった.外科手術後の肝転移抑制治療においてIrusogladine投与の有用性が示唆され,将来の臨床応用に期待がもてるものと思われた.