ABSTRACT 1808(P7-4)
Irsogladine誘導体MN537による血管新生の抑制:岩坂知佳、斎藤祥子、安部まゆみ、佐藤靖史(東北大・加齢研・腫瘍循環)
The regulation of angiogenesus by MN537 : Chika IWASAKA, Sachiko SAITO, Mayumi ABE, Yasufumi SATO (Dept. of Vasc. Biol., IDAC, Tohoku Univ.)
<目的>我々は抗潰瘍薬であるirsogladineに血管新生抑制作用があることを報告してきた。一方、転写因子ets-1は血管新生因子の刺激で内皮細胞に誘導され、MMPsやuPAの発現を介して血管新生を調節していることも明らかにしている。今回、irsogladineの誘導体で血管新生抑制活性においてirsogladineの1/10000の濃度で同等の効果を示すMN537について、その血管新生抑制機構をETS-1と
の関連で検討した。
<方法>培養内皮細胞(EC)を用い、増殖能をTritium-ThymidineのDNAへの取り込み、遊走能をwound migration法、 in vitro の血管新生を1型collagengel中の管腔の長さで測定した。転写因子ETS-1の発現をNorthern blot法とWestern blot法、またETS-1のDNA結合をEMSAで解析した。
<結果>MN537はECの増殖能に影響を与えることなく、bFGFにより惹起された遊走と1型collagen gel内の管腔形成を抑制した。また、 MN537はETS-1のmRNA, 蛋白レベルでの発現にほとんど影響を与えなかったが、 EMSAにおいてETS-1のDNA結合能を著明に抑制した。
<考察>MN537はETS-1の機能を抑制することによって、血管新生を制御する可能性が示された。