ABSTRACT W01-1(W01)
臨床医から見た高齢者の悪性腫瘍:森眞由美(東京都老人医療センター血液科)
Maligmant tumor in aged observed from the standpoint of clinician : Mayumi MORI(Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital)
高齢者における悪性腫瘍の第一の特徴は、発症頻度が高いことである。臨床所見、及び剖検所見から悪性腫瘍が死因と関連があった例は、10年間の当院剖検例2545例の内40−60%を占める。しかも多発癌の頻度が高く、高齢になるに従いこの傾向は増加し、80歳以上になると3−5重癌が、全癌の3.5%にも達する。同一臓器内での多発頻度も高い。胃癌を例にとると、当院における胃癌手術例の80%が分化型で、その内の15%が多発癌であった。分化型癌は、高齢者に頻度の高い胃粘膜の腸上皮化生と関係があると考えられている。血液の面から見ると、高齢者の骨髄は、造血髄の割合が減少し、脂肪髄が増加する。MRIで造血の程度を観察しても、加齢に従い造血巣の減少が見られる。また、骨髄像を見ると、造血細胞の軽度形態変化を認めることも多い。高齢者の白血病は、このような骨髄変化の延長とも考えられる、骨髄異形性症候群から移行した白血病が全体の約1/3を占める。しかも、染色体異常も二次性白血病に多いとされる異常が多い。これらのデータは、高齢者においては、癌が発生しやすい条件が出来ていることを示唆している。個体の老化が、発癌に何らか関与していることを示している。また一方で、AIDS患者に頻度が高いヘルペスタイプVIIIが関与するbody cavity based lymphomaも高齢者で認められ、高齢者における免疫機能の低下も発癌に何らかの影響を及ぼしていると推察される。、今回は、細胞の老化と癌化を研究している方々に、いくらかのヒントを提示出来ることを願いつつ、高齢者の消化器癌、白血病、悪性リンパ腫を中心に症例呈示を交えながら、高齢者悪性腫瘍の特徴を、主に病態面から述べる。