ABSTRACT W02-2(W02)
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がん患者情報の臨床研究への応用:山口直人(国立がんセ・研・がん情報)

Clinical research using clinical cancer patients database: Naohito YAMAGUCHI (Cancer Information and Epidemiology Div., Natl. Cancer Ctr. Res. Inst.)

わが国のがん治療の実態を示す5年生存率は一部の地域がん登録から約40%と報告されている。一方、がん専門診療施設における5年生存率は約60%であり、両者には大きな開きがある。したがって、治療成績の向上を目指す臨床研究として、がん専門診療施設における生存率をさらに改善させるための実験研究(臨床試験)と、がん診療の実態を把握し、地域全体の生存率をがん専門診療施設のレベルにまで引き上げる観察的な臨床研究の2種類の基本戦略が考えられる。前者の臨床試験は多施設共同研究として実施される場合が多く、中央のデータセンターが参加症例全体のデータベース(DB)を構築して、臨床試験の安全性と科学性を保証する必要がある。同時に、各施設におけるデータ管理の質を高めることが重要である。さらに、複数の試験のデータを横断的に解析することによって、治療による有害事象の実態を客観的に把握するなど、一般診療よりも質の高いデータ解析が可能である。
一方、観察研究ではがん患者情報を継続的に収集する院内がん登録が研究基盤として大きな力を発揮する。ただし、観察研究では患者の背景因子、がんの進行度などの臨床・病理因子、そして治療因子が相互に交絡し合っており、それを考慮した解析が必要である。また、研究の質を保証するためのDB側の要件については必ずしも十分な整理がなされていない。特に、死亡、再発を追跡調査によって把握する必要があり、この面で情報の質を高めることが臨床研究の質を左右する。また、施設間の相互比較を可能にするがん患者データベースの標準化が観察的な臨床研究を進める上で最も緊急性の高い問題である。