ABSTRACT W02-4(W02)
肺がんCT像の解析:仁木登(徳島大学工学部光応用工学科)
Image Analysis for Lung Cancer Based on Helical CT images: Noboru NIKI (Dept. of Optical Science, Univ. of Tokushima)
医用イメ−ジング技術の進歩により,信頼度の高い人体内部の各種の画像情報が時空間で計測できるようになってきた.これらを取り扱う環境もネットワ−ク,ディスプレイ,デジタル記録保存,計算機などの要素技術の進歩により新しいデジタル診断環境が創出されつつある.これは従来のアナログ診断環境と比べてデジタルの世界を取り扱うためにフィルムレス環境下で遠隔読影,多重読影,比較読影,数値化読影,自動読影などを効果的に統合的に行える新しいデジタル診断環境である.特に,数百ギガバイトから数テラバイトにも及ぶ巨大な時空間の画像情報を対象とする新しいリアルタイム診断技術の開発に期待が持たれている. 本報告では,胸部をヘリカルCTで高速に3次元撮影したCT像を用いて早期肺がん候補の存在診断や質的診断に関する診断支援技術について述べる.まず,肺がんの存在診断にはヘリカルCTを導入した新しい集団検診方式の開発を進めている.集団検診では2重読影を推奨している.この2重読影に検診医と計算機診断を組み合わせた読影方式で読影労力の削減,見落としの防止,診断の客観化などを行ってスル−プットの大きい,極めて検診精度の高い実用的集団検診方式を計っている.次に,存在診断で肺がん候補を発見するとこれが良性か悪性かの鑑別が求められる. CT像の時空間的な分解能の向上により信頼度の高い質的診断に期待が高まりつつある.高分解能thin-section CT像の解析によって小型肺野型肺がんの腫瘤辺縁の性状,血管や気管支の集束などが良悪性の鑑別に重要な手がかりとなることを示す.これらにより,早期肺がんを発見するための新しい存在診断や質的診断の診断支援技術の可能性について示す.特に,ヘリカルCTを導入した存在診断支援技術は臨床試験している段階であって実用化の見通しを得ている.また,質的診断にも興味深い成果を得つつあり,信頼度の高い診断結果が期待できる状況となっている.デジタル診断環境の整備とともに診断支援技術は一層発展されて新しい診断に寄与すると考えている.