ABSTRACT W02-5(W02)
コンピュータを用いた医薬分子設計の現状と展望:
板井昭子((株)医薬分子設計研究所)
Present and Future of Drug Discovery Using Computer: Akiko Itai (Institute of Medicinal Molecular Design)
近年、生命や生物に関連した研究の進歩は目覚ましく、さまざまな技術的進歩に薬剤費抑制や国際競争の激化などの社会経済的事情が加わって、創薬手法は変革を迫られている。ここ数年、創薬過程の効率化、迅速化をキーワードに、膨大な化合物ライブラリを相手に高効率に標的生体高分子に結合するリガンドを探すHTSや、一度に多数化合物を自動合成する装置の導入が進んだ。医薬リードの発見を通じて新しい作用メカニズムに基づく新薬の創製が可能になったといえる。
しかし、巨大化する一方の生物的構造的情報に対処し、効率的に新薬創製を進めるには、こうした力づくの実験手法だけでは不十分である。コンピュータを用いた諸情報の利用法の確立と医薬分子を合理的に設計していくための論理の確立が必須である。演者らは長い間、論理的に医薬分子を設計するための理論と方法論を研究してきた。その結果、さまざまな有効な方法を世界に先駆けて開発することに成功した。特に標的生体高分子の立体構造が利用できる場合には、確実に多数の新規構造のリガンドが創製できるようになった。
生体高分子の機能を制御する選択的リガンドの創製は、各生体高分子の機能と生体メカニズムの解明に必須である。現在、リガンド創製のための研究に加え、「ゲノムからリガンドまで」を実現するため蛋白モデリング手法の研究を行っている。