ABSTRACT W03-5(W03)
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間質細胞外マトリックス,テネイシンによる細胞増殖・分化制御:大田雅嗣1, 齋藤政樹21北大・医・癌研生化学, 2国立がんセ・研・ウイルス)

Regulation of cell growth and differentiation by extracellular matrix glycoprotein, tenascin: Masatsugu OHTA1, Masaki SAITO2 (1Div.of Biochem., Cancer Inst., Hokkaido Univ., Sch. of Med., 2Dept. of Virology, National Cancer Center Res. Inst.)

テネイシン(TN)は分子量250-190KのサブユニットがS-S結合により六量体を形成する細胞外マトリックス糖蛋白質である.TNは主として間質線維芽細胞が産生し,癌細胞の増殖・分化における上皮・間質の相互作用に関与していると考えられる.TN非産生上皮系腫瘍細胞株の中にはin vivo移植後,腫瘍組織周囲間質のみならず腫瘍細胞自身にTNの発現誘導が観察され,in vitroにおいてはTGF-β, EGFなどの液性因子により形態変化の誘導とともにTNの自己産生が誘導されるものがあり,癌細胞の増殖過程での間質細胞との相互作用が示唆された.
一方造血組織において間質系細胞にはTNの発現が見られ,造血幹細胞と間質系支持細胞との相互作用に重要な役割を有することが示唆されている.そこでTN-Cを遺伝的に欠損するマウスを用いてTN欠損が造血に与える影響を検索した.この結果,TN-C欠損マウスでは,TN-C発現マウスに比べ,成育,骨髄の組織学的構築に差異は見られなかったものの,骨髄細胞のコロニー形成能はTN-C欠損マウスで有意に低下していた.このマウスの骨髄を用い,in vitro 長期骨髄培養系を構築すると,造血巣の形成,産生血液細胞数,産生細胞のコロニ−形成能の低下が認められた.また欠損マウスの長期骨髄培養系にTN-Cを添加することにより,造血能の回復が確認された. さらにフィブロネクチン,ヘパラン硫酸プロテオグリカンなどの細胞外マトリックス分子種を欠損マウス骨髄培養系に添加すると,造血能の改善がみられたことから,細胞外マトリックス分子種の相互作用が示され,細胞外マトリックスの造血への深い関与がテネイシンC欠損マウスのモデル系で実証された.TNの細胞増殖・分化における多機能性については未だ不明の点が多く,さらに本質的な機能解析が必要である.