ABSTRACT W03-6(W03)
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癌悪性化の新しい因子、ミッドカイン
門松 健治(名大・医・一生化)

Midkine, a novel factor involved in carcinogenesis: Kenji KADOMATSU (Dept. Biochem., Nagoya Univ. School Med., Nagoya)

ミッドカイン(MK)は分子量13kDaのヘパリン結合性成長因子である。その生物活性は、神経の生存・分化、組織再構築に関するものなど多岐にわたる。癌に関しては、まず胎児性癌抗原としての特徴を挙げることができる。MKはマウス胎生中期に高発現するのであるが、ヒト癌においては組織型にこだわらず高頻度高発現を示す。in vitroではMKはいくつかの細胞株に対して増殖促進能を持ち、血管内皮細胞に対して線溶系亢進能を有し、Wilms腫瘍細胞に働いてMKはbcl-2の発現を誘導することにより部分的に細胞死から守る。間質とMKの相互作用を考えるとき興味深いのは、MKによりNIH3T3細胞はトランスフォームするのであるが、基質から自然に遊離する。また、癌におけるMK産生細胞は癌細胞と考えられるが、間質細胞表面あるいはマトリックス上のへパラン硫酸プロテオグリカンへの結合を介して、癌細胞に加えて間質細胞へも作用することが考えられる。in vitroでMKが線維芽細胞、平滑筋細胞などの間葉系細胞にも作用する事実が上述の可能性を支持する。。最後に最近、MKが必須の分子であることが判明した血管壁損傷モデルを紹介して癌化を含む組織再構築の中のMKの役割について考察を加えたい。