ABSTRACT W04-5(W04)
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終末期がん患者の意思決定-医学的及び倫理学的基盤-:内富庸介,明智龍男(国立がんセ・研・精神腫瘍)

Decision making in terminally ill cancer patients -its medical and ethical backgrounds-: Yosuke UCHITOMI, Tatsuo AKECHI (Psycho-Oncology Div., Natl. Cancer Ctr. Res. Inst. East)

近年医学的、倫理学的に注目されている問題に安楽死があるが、がんはこれに最も深く関連した疾患である。[世界の現状]オランダと米国オレゴン州では、一定条件下でこれら行為が法的に免訴される状況にある。欧米では、一般住民の50%以上、医師の30-60%が安楽死を支持している。[医学的倫理学的問題]倫理学的には、死を第一の目的とした医療行為は容認されない。では、医学的には終末期がん患者が自ら死を望むことに合理性を見いだせるだろうか? がん患者から医療者に安楽死の要請がなされることは稀ではないが、その関連要因として痛みとせん妄及びうつ状態が挙げられている。せん妄では意識障害が存在するので、意思決定能力は障害されている。一方、痛みとうつ状態の多くは基本的には対応可能な病態であるため、治療が優先されるが、それでも安楽死の要請があった場合には、その合理性をめぐって患者の意思決定能力の評価が必須となる。しかしながら、終末期においてはうつ状態の診断にゴールデンスタンダードがなく、さらに痛みもうつ状態も治療困難な症例が存在するため、現時点では有用な指針は存在しない。[結語]がん医療の現場で、医療者は倫理的また医学的見解の狭間で強いジレンマに苛まれており、今後終末期における安楽死問題に関する実証的な知見の集積が期待される。