ABSTRACT W04-6(W04)
緩和医療におけるEvidence-based Medicine:福井次矢(京都都大学医学部附属病院総合診療部)
Evidence-based medicine in the context of palliative care:Tsuguya Fukui (Department of General Medicine and Clinical Epidemiology, Kyoto University Hospital)
Evidence-based medicine(EBM)とは、「個々の患者の臨床決断に際して、それまでに得られている最良の証拠を良心的かつ明示的に、そして妥当性のある用い方をすること」である。EBMの基本的な手順は、以下の4段階からなる。1.眼前の患者での臨床上の疑問点を抽出する。2.疑問点を扱った文献を検索する。3.得られた文献の信頼性を評価する。4.文献の結果を眼前の患者に適用することの妥当性を評価する。EBMを実践するためには、コンピューター・サイエンスや臨床疫学、生物統計学などの基本知識・技量が必須である。EBMの主な利用方法は、実際の患者についてのEBM実践、診療ガイドラインの作成と使用である。診療ガイドラインは、多くの医師が遭遇する頻度の高い疑問点について、当該領域とその関連領域の専門医からなる委員会を設置し、あらかじめEBMの手順に則って作成した、ある時点で最も望ましいと考えられる一連の診療行為である。
EBMでは、定量的データを扱うことが比較的多いが、緩和医療の領域では、個々の患者のQOLの評価(多項目評価か効用値か)、心理社会的側面、費用効果性と倫理の問題など、多くの定性的な問題をはらんでいる。したがって、文献の結果を眼前の患者に適用する段階での深い考慮がとりわけ重要である。