ABSTRACT W07-3(W07)
HPV E2タンパク質による癌細胞増殖制御機構:酒井博幸1, 西村聡子1, 本郷淳司2, 吉野内光夫2, 石本秋稔1(1京大・ウイルス研・癌ウイルス, 2岡山大・医・産婦)
Mechanisms of growth-suppression of cervical cancer cells by HPV E2 gene product: Hiroyuki SAKAI1, Akiko NISHIMURA1, Atsushi HONGO2, Mitsuo YOSHINOUCHI2, Akinori ISHIMOTO1 (1Dept. Viral Oncol., Inst. Virus Res., Kyoto Univ., 2Dept. Obst. Gyne., Okayama Univ. Med. Sch.)
【目的】ヒトパピローマウイルスの感染は子宮頸癌発症の主要なリスクファクターである。細胞の癌化に関してはウイルスのコードするE6とE7蛋白が重要であり、その作用機序として宿主のがん抑制遺伝子産物の不活化が考えられている。ここではウイルスの持つ転写因子であるE2がHPV陽性の子宮頸癌の増殖を抑制する現象をもとにして、その分子機構の解明について紹介する。【結果及び考察】E2発現による細胞増殖抑制活性は、E6/E7の発現を抑制する機能とよく相関した。またこの機構にはE2の転写活性化機構が関与していることが判明した。パピローマウイルスプロモーターを用いた解析からE6/E7の発現活性の高い状態においてのみ、その抑制にE2の転写活性化機能が必要であることが分かった。E2によるE6/E7発現抑制がE2と宿主因子との間のDNA結合に関する競合の結果であると考えると、転写活性化能のないE2では、活性の高いプロモーターの結合領域へアクセスする能力が低いと考えられる。この現象はDNA複製におけるE2の必要性にも反映されていた。E2による解析を通してE6/E7の高い発現が癌細胞の増殖維持に重要であると推察されたことから、宿主性の因子によってE6/E7発現を低下させ、更に細胞増殖抑制を誘導する可能性に関しても検討した。 E2によるE6/E7の発現制御の実際の発癌過程における重要性について検討する目的で、臨床材料におけるE2やE6の存在状態についても解析を加えており、その結果も併せて報告する。